映画『北斎漫画』DVDレビュー:天才絵師の狂気と孤独に迫る異色時代劇
新藤兼人監督が、葛飾北斎の晩年を描いた異色時代劇『北斎漫画』。緒形拳演じる北斎の、狂気と孤独が入り混じった生き様は、観る者の心を深く揺さぶります。田中裕子、樋口可南子、西田敏行といった豪華キャストも見どころ。DVDで、巨匠の映像美と、北斎の魂に触れてみませんか?
あらすじ
時は江戸時代。北斎(緒形拳)は、絵を描くことに憑りつかれたように生きる異端の絵師。妻子を顧みず、ただひたすらに筆を走らせる。そんな北斎を支えるのは、娘のお栄(田中裕子)と、版元の蔦屋重三郎(西田敏行)。しかし、北斎の狂気は次第に周囲を巻き込み、悲劇を生んでいく…。
実体験レビュー
恥ずかしながら、私はこの映画を観るまで、北斎について深く知りませんでした。教科書に載っている絵を描いた人、くらいの認識だったんです。しかし、この映画を観て、北斎の人間としての魅力、そして狂気に圧倒されました。緒形拳さんの演技が本当に素晴らしく、北斎そのものになりきっているように感じました。
特に印象に残ったのは、北斎がひたすら絵を描き続ける姿です。まるで何かに取り憑かれたように、一心不乱に筆を走らせる。その姿は、まさに狂気の沙汰。しかし、同時に、彼の芸術に対する情熱、執念を感じました。
他の北斎映画との違い
近年、北斎を題材にした映画はいくつか公開されています。例えば、2020年には、北斎の青年期を描いた映画『HOKUSAI』が公開されました。この映画は、北斎の葛藤や成長を描いていますが、『北斎漫画』は、晩年の北斎に焦点を当て、彼の狂気と孤独を深く掘り下げています。より人間ドラマとしての側面が強いのが特徴です。
また、ドキュメンタリー作品なども存在しますが、『北斎漫画』は、あくまでフィクションでありながら、北斎の人物像を鮮やかに描き出しています。その点で、他の作品とは一線を画していると言えるでしょう。
映画タイトル | 焦点 | 特徴 |
---|---|---|
北斎漫画 | 晩年の北斎 | 狂気と孤独、人間ドラマ |
HOKUSAI | 青年期の北斎 | 葛藤と成長 |
DVDの魅力
このDVDは、「あの頃映画」シリーズの一本として発売されています。そのため、画質や音質は最新のデジタルリマスターに比べると、やや粗い部分もあります。しかし、それもまた、この映画の持つ時代感を際立たせているように感じました。
特典映像として、新藤兼人監督のインタビューなどが収録されていれば、さらに作品への理解が深まったと思いますが、残念ながら収録されていません。
こんな人におすすめ
メリット・デメリット
メリット
デメリット
- 画質や音質は最新のデジタルリマスターに劣る
- 特典映像が少ない
まとめ
映画『北斎漫画』は、葛飾北斎の狂気と孤独を描いた、異色の時代劇です。緒形拳さんの演技は圧巻で、観る者の心を深く揺さぶります。DVDで、巨匠の映像美と、北斎の魂に触れてみてください。