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【禁断の果実】『LOLLIPOP CHAINSAW PREMIUM EDITION』はなぜ今でも語り継がれるのか?Xbox360が放つ異色の輝き

はじめに

皆さん、突然ですが、かつてXbox360というゲーム機で、とんでもないゲームが世に放たれたことをご存知でしょうか? 今回ご紹介するのは、金髪のチアリーダーがチェーンソーを片手にゾンビをぶった斬るという、まさにクレイジーな設定で世間を騒がせた伝説のゲーム、『LOLLIPOP CHAINSAW PREMIUM EDITION』です。私は当時、このゲームのPVを見た時の衝撃を今でも鮮明に覚えています。こんな破天荒なゲームが本当に発売されるのか?と半信半疑でしたが、いざ手に取ってみると、その期待を遥かに超える「イカれた」魅力にどっぷりハマってしまいました。

LOLLIPOP CHAINSAW PREMIUM EDITION』とは?

2012年に角川ゲームス(現:KADOKAWA)から発売されたこの作品は、主人公ジュリエット・スターリングが、高校で突如発生したゾンビ大量発生事件に立ち向かうアクションゲームです。ただのチアリーダーではない彼女は、ゾンビハンターの血を引く家系の末裔で、常に持ち歩く巨大なチェーンソーと、なぜか生首になった恋人ニックを腰にぶら下げて戦います。

このゲームの最大の特徴は、何と言ってもその独特な世界観と、それを彩る豪華な制作陣にあります。ゲームディレクターは、あの鬼才・須田剛一氏(グラスホッパー・マニファクチュア)が担当。そして、ストーリー監修には映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『スーサイド・スクワッド』で知られるジェームズ・ガン氏がクレジットされています。この二人のクリエイターが手掛けるだけあって、B級ホラー映画のようなノリと、ブラックユーモアに満ちたセリフの応酬が随所に散りばめられています。もちろん、CEROレーティング「Z」(18歳以上のみ対象)に相応しいゴア表現も満載で、血しぶきが飛び散る爽快なゾンビ殲滅アクションが楽しめます。

実際にプレイしてみて感じた唯一無二の魅力

私がこの『ロリポップチェーンソー』をプレイして最も心を奪われたのは、その「突き抜けた」エンターテイメント性です。ただゾンビを倒すだけのゲームではありません。そこには唯一無二の体験がありました。

ぶっ飛んだ世界観とキャラクター

ジュリエットは常にポジティブで、どんなに絶望的な状況でも笑顔を絶やしません。ゾンビを倒すたびに飛び散るカラフルなスパークルや、ステージクリア時に流れるポップな音楽は、本来グロテスクであるはずのゾンビゲームに、良い意味でのギャップを生み出しています。登場するボスゾンビたちも個性的で、ロックスターゾンビやパンクゾンビなど、それぞれにユニークな倒し方があり、飽きさせません。特に、生首の恋人ニックとのコミカルな掛け合いは、シリアスになりがちな展開に絶妙な笑いを加えてくれます。

スタイリッシュで爽快なアクション

チェーンソーとチアリーディングの動きを組み合わせたアクションは、非常にユニークで爽快感抜群です。コンボを繋げて多くのゾンビを巻き込めば、画面いっぱいにカラフルなエフェクトが広がり、ストレス解消にもってこいです。シンプルな操作ながら、奥深いコンボシステムがあり、上達するほどスタイリッシュにゾンビを殲滅できるようになります。特に、複数のゾンビを一気に倒す「スパークルハンティング」は、ゲームの醍醐味の一つです。

忘れられないBGMと演出

ゲーム全体を彩るBGMは、洋楽のヒット曲が多数使用されており、まるで一本の映画を見ているかのような感覚になります。ゾンビと戦いながら名曲が流れる演出は、このゲームならではの魅力です。特に、特定のシチュエーションで流れる曲が、その場の雰囲気にマッチしていて、プレイヤーのテンションを最高潮に引き上げてくれます。

他作品とは一線を画す「ロリポップチェーンソー」の個性

ゾンビゲームと一口に言っても、世の中には様々なタイトルが存在します。例えば、カプコンの『Dead Rising』シリーズは、大量のゾンビを相手に武器をクラフトしながら生き残るオープンワールドのサバイバル要素が強く、非常に高い自由度が特徴です。また、同じくカプコンの『バイオハザード』シリーズは、シリアスなホラー要素と緻密なストーリー、そしてサバイバルアクションが融合した、言わずと知れた名作です。Valve社の『LEFT 4 DEAD』シリーズは、4人協力プレイで迫りくるゾンビの群れを戦略的に撃退するCo-opシューターの金字塔でしょう。

しかし、『LOLLIPOP CHAINSAW PREMIUM EDITION』は、これらのどの作品とも異なります。広大なマップを探索する自由度や、物資を集めて生き残るサバイバル要素、あるいは心臓が締め付けられるような恐怖演出は、本作にはほとんどありません。代わりに提供されるのは、ひたすら「ポップでクレイジー」な世界観と、それを体現するキャラクター、そしてB級ホラー映画のような軽快なノリです。グラフィックも、当時としては美麗でしたが、リアルさを追求するというよりも、アメコミのようなデフォルメされた表現で、ゲーム全体の世界観に溶け込んでいます。 本作は、ゾンビを倒す爽快感を最優先しつつ、随所に散りばめられたユーモアと、洋楽センス抜群のサウンドトラックでプレイヤーを飽きさせないことに特化しています。これはまさに、須田剛一氏とジェームズ・ガン氏という「異端の才能」が融合したからこそ生まれた、唯一無二のエンターテイメント体験と言えるでしょう。

ここが惜しい!プレイ中に感じたデメリット

もちろん、完璧なゲームというものは存在しません。『ロリポップチェーンソー』にも、いくつか気になる点はありました。

  • 繰り返し感: 基本的なアクションが強力なため、ステージによっては少し作業的になってしまうこともあります。コンボを極めれば奥深くはなりますが、ストーリー重視で進める場合は、途中で飽きを感じる人もいるかもしれません。
  • カメラワーク: Xbox360時代のゲームによくあることですが、狭い場所でのカメラワークに戸惑うことが稀にありました。しかし、これはゲーム全体の面白さを損なうほどではありません。
  • 人を選ぶ表現: CERO Zのゲームなので、過激なゴア表現や下ネタに近いセリフも登場します。このような表現が苦手な人には、あまりお勧めできません。

こんな人におすすめしたい!

このゲームは、以下のような方には特におすすめです。

  • B級ホラー映画やスラッシャー映画が好きな方: ジェームズ・ガン氏のテイストが随所に散りばめられています。
  • 須田剛一作品のファン: 彼の独特のセンスが爆発しています。
  • 爽快感のあるアクションゲームを求めている方: ゾンビを吹き飛ばす感覚は病みつきになります。
  • 常識にとらわれないクレイジーなゲームを体験したい方: ポップとグロテスクの融合を存分に楽しめます。
  • 2010年代のゲームに懐かしさを感じる方: Xbox360時代の名作として、今改めてプレイする価値があります。

まとめ

LOLLIPOP CHAINSAW PREMIUM EDITION』は、単なるゾンビゲームではありません。それは、鬼才クリエイターたちの「遊び心」と「狂気」が融合した、唯一無二のエンターテイメント作品です。私がこのゲームを初めてプレイした日から数年が経ちましたが、その鮮烈な印象は全く色褪せていません。むしろ、現代のゲームではなかなか味わえない、突き抜けた個性が今こそ求められているのかもしれません。 残念ながら、Xbox360というハードの制約や、CERO Zというレーティングの壁もあるため、誰もが気軽に手に取れるゲームではないかもしれません。しかし、もしあなたが「何かぶっ飛んだ体験がしたい」「普通のゲームに飽きた」と感じているなら、ぜひこの『LOLLIPOP CHAINSAW PREMIUM EDITION』の世界に飛び込んでみてください。きっと、あなたのゲーム観が変わるはずです。