推しガジェログ

買ってよかったガジェットなど

『ジョニーは戦場へ行った』DVDレビュー:目を背けたくなる真実、それでも見続けるべき理由

『ジョニーは戦場へ行った』DVDレビュー:目を背けたくなる真実、それでも見続けるべき理由

ダルトン・トランボ監督による不朽の反戦映画『ジョニーは戦場へ行った』。第一次世界大戦で四肢と視覚、聴覚、そして口を失った兵士ジョニーの悪夢のような現実を描いた作品です。公開当時、その強烈なメッセージは多くの議論を呼び、今なお色褪せない問題提起を私たちに投げかけます。

あらすじ:戦場の悪夢、意識だけが残された兵士

物語は、第一次世界大戦に従軍したアメリカ兵ジョー・ボナム(ティモシー・ボトムズ)が、砲弾の爆発によって四肢、視覚、聴覚、そして口を奪われるところから始まります。病院のベッドで意識を取り戻した彼は、自分が生きていること、そして外界との繋がりを完全に断たれたことに気づきます。思考だけが残された彼は、過去の記憶を辿りながら、絶望と孤独の中で生きる意味を問い続けます。

体験レビュー:想像を絶する苦痛、それでも目を背けてはいけない

このDVDを初めて見たのは、大学生の頃でした。正直、最初は目を背けたくなるような衝撃的な映像に戸惑いました。しかし、ジョニーの苦悩、戦争の残酷さをこれほどまでに生々しく描いた作品は他に類を見ません。特に、彼がモールス信号でコミュニケーションを取ろうとするシーンは、人間の尊厳、生きる希望を強く感じさせます。

私は普段、ハッピーエンドの映画や、気軽に見られるエンターテイメント作品を好んで鑑賞します。しかし、『ジョニーは戦場へ行った』は、エンターテイメントとは対極にある作品です。この作品は、私たちに目を背けがちな現実を直視させ、深く考えさせられます。鑑賞後、数日間は重い気持ちが残りましたが、それ以上に「戦争とは何か」「平和とは何か」を考えるきっかけになりました。

他の反戦映画との違い:内面からの告発

反戦映画といえば、『プラトーン』や『地獄の黙示録』など、戦場の狂気や兵士の苦悩を描いた作品が数多く存在します。しかし、『ジョニーは戦場へ行った』は、戦場そのものではなく、戦争によって心身を破壊された一人の兵士の内面を深く掘り下げている点が大きく異なります。

オリバー・ストーン監督の『プラトーン』は、ベトナム戦争の現実をリアルに描き、戦争の狂気を告発しています。フランシス・フォード・コッポラ監督の『地獄の黙示録』は、戦争の非人間性を、幻想的な映像と音楽で表現しています。これらの作品は、視覚的なインパクトが強く、観客を圧倒する力を持っています。しかし、『ジョニーは戦場へ行った』は、ジョニーのモノローグと過去の記憶を通して、静かに、しかし強烈に戦争の悲劇を訴えかけます。

メリット・デメリット:覚悟して見るべき作品

メリット

  • 戦争の悲惨さを深く理解できる
  • 生きる意味、人間の尊厳について考えさせられる
  • 映像表現、音楽、演技、全てにおいて完成度が高い

デメリット

  • 非常に重いテーマであり、精神的に負担がかかる
  • ショッキングな描写が含まれている
  • 万人受けする作品ではない

どんな人におすすめ?

  • 戦争について深く考えたい人
  • 人間の尊厳について考えたい人
  • 既存の反戦映画とは異なる視点を求める人
  • 重いテーマの映画に抵抗がない人

まとめ:目を背けずに、語り継ぐべき映画

『ジョニーは戦場へ行った』は、決して見ていて楽しい映画ではありません。しかし、目を背けたくなるような現実を直視し、戦争の悲惨さを深く理解することは、私たちにとって非常に重要です。この映画は、私たちが平和な世界を築くために、何をすべきかを考えるきっかけを与えてくれます。DVDという形で、この作品を後世に語り継いでいくことこそが、私たちにできることなのかもしれません。