映画『シシリアン』Blu-rayレビュー:アラン・ドロンの魅力と裏社会の哀愁
映画史に残る傑作ノワール、『シシリアン』。アラン・ドロン、ジャン・ギャバン、リノ・ヴァンチュラというフランスを代表する名優たちが競演し、裏社会の男たちの生き様を描いた作品です。Blu-rayで蘇った本作を鑑賞したので、その魅力を余すところなくお伝えします。
あらすじ
宝石強盗のセルジュ(アラン・ドロン)は、刑務所から脱獄し、シシリアン・マフィアのヴィットリオ(ジャン・ギャバン)と出会う。彼らは協力してローマの宝石店を襲撃する計画を立てるが、セルジュはヴィットリオの養女である美しい女性、ジョアンナ(イリナ・デミック)と恋に落ちてしまう。しかし、ジョアンナはセルジュを追う警視ル・ゴフ(リノ・ヴァンチュラ)の愛人でもあった。複雑に絡み合う人間関係と、裏社会の掟の中で、セルジュは生き残りをかけて戦う。
Blu-ray版の魅力
鮮明な映像と音声
Blu-ray化により、オリジナルネガから丁寧にレストアされた映像は、フィルムの質感を残しつつも、細部まで鮮明に再現されています。特に、アラン・ドロンの美しさは息をのむほど。夜のシーンや、薄暗い室内のシーンも、ノイズが少なく、見やすくなりました。音声もクリアになり、効果音や音楽がよりリアルに響きます。
特典映像
Blu-rayには、メイキング映像や、キャスト・スタッフのインタビューなど、貴重な特典映像が収録されています。撮影当時のエピソードや、作品に対する思いを知ることができ、より深く『シシリアン』の世界に浸ることができます。
DVD版との比較
以前、DVD版も所有していました。Blu-ray版との比較で、特に違いを感じたのは映像の鮮明さです。DVD版では潰れてしまっていた暗部のディテールが、Blu-ray版ではしっかりと確認できます。また、発色もBlu-ray版の方が自然で、よりオリジナルフィルムに近い印象を受けました。
競合作品との比較
『シシリアン』と並び称される、フランスノワールの傑作といえば、『フレンチコネクション』(1971年)が挙げられます。どちらも、犯罪組織と、それを追う刑事の姿を描いた作品ですが、『フレンチコネクション』の方が、よりドキュメンタリータッチで、リアリズムを追求しているのに対し、『シシリアン』は、アラン・ドロンの美しさや、ヨーロッパ的なロケーションなど、映像美にこだわっている点が異なります。また、『太陽がいっぱい』(1960年)もアラン・ドロン主演の代表作ですが、こちらはサスペンス要素が強く、『シシリアン』のようなノワール作品ではありません。
個人的な感想
初めて『シシリアン』を観たのは、10代の頃でした。アラン・ドロンのクールな佇まいと、裏社会の男たちの哀愁に、心を奪われました。Blu-ray版で改めて鑑賞し、その感動は色褪せていないことを確信しました。特に、アラン・ドロンの表情の演技は、何度見ても素晴らしい。目線の動き、口元のわずかな変化で、セルジュの心情が伝わってきます。昔からの映画ファンはもちろん、若い世代にもぜひ観てほしい作品です。
こんな人におすすめ
まとめ
『シシリアン』Blu-rayは、アラン・ドロンの美しさと、裏社会の哀愁を、高画質・高音質で堪能できる、ファン必携のアイテムです。特典映像も充実しており、作品をより深く理解することができます。ぜひ、この機会に『シシリアン』の世界に浸ってみてください。