「小さな巨人」DVDレビュー:ダスティン・ホフマンが体現する、白人青年のネイティブアメリカン体験の深淵
アーサー・ペン監督による1970年の西部劇「小さな巨人」。ダスティン・ホフマンが主演を務め、白人青年がネイティブアメリカンの文化に触れ、翻弄されながらも成長していく姿を描いた作品です。DVDで改めて鑑賞したので、その魅力をレビューします。
あらすじ
121歳まで生きたというジャック・クラブという男が、自身の波乱万丈な人生を語り始めます。白人でありながら、シャイアン族に育てられたジャック。彼は、白人社会とネイティブアメリカンの社会、二つの文化の間で葛藤しながら生きていきます。西部開拓時代を背景に、人間の多様性と残酷さを浮き彫りにした作品です。
見どころ
- ダスティン・ホフマンの演技: 若者から老人までを演じきっており、その演技力には圧倒されます。特に、老人のジャックを演じる際の、声や仕草の変化は見事です。
- ネイティブアメリカンの描写: 当時のハリウッド映画にありがちなステレオタイプな描写ではなく、シャイアン族の文化や価値観を尊重した描き方がされています。彼らの生活様式や精神性が丁寧に描かれており、理解を深めることができます。
- 社会派なテーマ: 白人によるネイティブアメリカンへの迫害、戦争の悲惨さなど、社会的なテーマが深く掘り下げられています。娯楽作品としてだけでなく、歴史や社会について考えさせられる作品です。
実体験レビュー
初めて「小さな巨人」を観たのは、大学生の頃でした。西部劇というジャンルにあまり興味がなかったのですが、ダスティン・ホフマンが出演しているということで、軽い気持ちで手に取りました。しかし、観終わった後、その内容の深さに圧倒され、しばらく放心状態だったのを覚えています。
特に印象に残ったのは、ジャックがシャイアン族の長老から教えを受けるシーンです。自然との共生、命の尊さなど、現代社会で忘れかけている大切なことを思い出させてくれました。また、白人社会での差別や迫害を経験するジャックの姿は、現代社会にも通じる普遍的なテーマを提起していると感じました。
DVDで改めて鑑賞して、改めてそのメッセージ性の強さに感銘を受けました。Blu-ray版と比較すると画質は見劣りするものの、十分に鑑賞に堪えうるレベルです。特典映像も充実しており、メイキングやインタビューなどを楽しむことができます。
競合製品との比較
同じくネイティブアメリカンをテーマにした映画として、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」が挙げられます。どちらも白人がネイティブアメリカンの文化に触れる物語ですが、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」は、よりロマンチックな要素が強く、娯楽作品としての色が濃いです。一方、「小さな巨人」は、より社会派な視点から、ネイティブアメリカンの置かれた状況や、人間の残酷さを描いています。そのため、エンターテイメント性を求めるなら「ダンス・ウィズ・ウルブズ」、社会的なメッセージ性を求めるなら「小さな巨人」がおすすめです。
メリット・デメリット
メリット
- ダスティン・ホフマンの演技が素晴らしい
- ネイティブアメリカンの文化を深く知ることができる
- 社会的なテーマについて考えさせられる
デメリット
- 上映時間が長い(約2時間40分)
- 残酷な描写が含まれている
- DVD版はBlu-ray版に比べて画質が劣る
こんな人におすすめ
- ダスティン・ホフマンのファン
- 西部劇に興味がある人
- ネイティブアメリカンの文化について学びたい人
- 社会的なテーマについて考えたい人
まとめ
「小さな巨人」は、単なる西部劇ではなく、人間の多様性や社会の不条理を描いた、奥深い作品です。ダスティン・ホフマンの演技、ネイティブアメリカンの描写、社会派なテーマなど、見どころ満載です。DVDで手軽に鑑賞できるので、ぜひ一度ご覧ください。