「ゲームする」って何?『ゲームの企画書(3)』が僕のゲーム観を根底から揺さぶった話
「ゲームって、結局のところ、何なんだろう?」
私はこれまで、様々なゲームをプレイしてきました。壮大なストーリーに没頭したり、ハイスコアを目指して熱中したり、友達と協力して笑い合ったり。しかし、そんな日々の楽しさの裏側で、ふとこんな根源的な疑問が頭をよぎることがありました。ゲームの楽しさってどこから来るんだろう?
そんな漠然とした問いを抱えていた時に出会ったのが、電ファミニコゲーマー編集部が手掛けた『ゲームの企画書(3) 「ゲームする」という行為の本質 (角川新書)』です。
正直なところ、この本を読む前の私は、「ゲームの企画書」と聞くと、具体的なゲームデザインのノウハウや業界の裏話が書かれているようなイメージを抱いていました。しかし、ページをめくるたびに、私のゲームに対する認識は大きく変わっていったのです。
もしあなたが、 * ゲームクリエイターを目指している * 普段ゲームをしているが、その面白さの根源を知りたい * ゲームという文化や行為について深く考察してみたい
と感じているなら、ぜひこの本を手に取ってみてください。きっと、新たな発見があるはずです。
「ゲームする」という行為の奥深さを知る旅へ
本書は、「ゲームをする」という、私たちが当たり前のように行っている行為そのものに焦点を当てています。単に「楽しいからやる」で片付けられがちなゲームプレイを、なぜ人はゲームをするのか、その行為から何を得ているのか、といった哲学的な問いから紐解いていきます。
特に印象的だったのは、様々な視点から「ゲーム」を再定義しようとする試みです。例えば、
- プレイする行為そのものへの没入:時間を忘れて夢中になる感覚
- 与えられたルールの中で最善を尽くすことの喜び:限られた条件での試行錯誤と達成感
- 仮想世界における自己表現の可能性:現実ではできない自分を演じる自由
など、これまで私が漠然と感じていた「ゲームの魅力」が、明確な言葉で表現されていく感覚がありました。まるで、複雑なパズルのピースが次々と埋まっていくような読書体験です。
単なる遊びではない、哲学としてのゲーム
本書を読むことで、私がゲームに対して抱いていた認識は、単なる「娯楽」という枠を超え、「人間が行う根源的な行為」として捉え直されるようになりました。この本で提示される考察は、普段私たちが何気なくプレイしているゲーム一つ一つに、より深い意味と面白さを見出すヒントを与えてくれます。
テーマ | 本書からの気づき |
---|---|
ルールの意味 | 自由な行動を制限することで生まれる「創造性」と「達成感」 |
失敗と学習 | 失敗を恐れず挑戦し、そこから学ぶことの重要性 |
仮想世界の価値 | 現実世界では得られない経験や自己実現の場として |
なぜ今、この本を読むべきなのか?競合との比較
世の中には多くのゲーム関連書籍があります。例えば、O'Reilly Japanから出版されているようなプログラミングやAIに関する技術書、エンターブレイン(KADOKAWA)発行の『ファミ通』系列のゲーム攻略本や業界史、あるいは小島秀夫氏や宮本茂氏といった著名なゲームクリエイター個人の思想やインタビュー集などです。
しかし、『ゲームの企画書(3)』は、これらとは一線を画します。
- 技術書が「どうやってゲームを作るか」に焦点を当てるのに対し、本書は「なぜゲームをするのか」という本質的な問いに深く切り込みます。
- 攻略本や業界史が特定のゲームや出来事を解説するのに対し、本書は「ゲームする」という普遍的な行為のメカニズムを解き明かそうとします。
- クリエイター個人の思想が「一人の天才の視点」であるのに対し、本書はより学際的で多角的な視点から「ゲームという行為そのもの」を考察しています。
つまり、この本は、表面的なゲームの知識ではなく、ゲームという現象の根源的な理解を求める人にとって、唯一無二の価値を提供してくれるでしょう。
シリーズの3作目ではありますが、単体でも十分に読み応えがあり、ゲームの本質を追求する上で欠かせない一冊と言えます。もちろん、前作『ゲームの企画書(1)』や『(2)』を読んでいれば、より深い理解と繋がりに気づけることでしょう。
僕のゲームライフが変わった瞬間
この本を読んでから、私のゲームに対する見方は劇的に変わりました。以前は単なる「時間つぶし」や「ストレス解消」としてゲームをプレイすることもあったのですが、今ではゲームの一つ一つに、作り手の意図や「ゲームする」行為の設計が見えてくるようになりました。
メリット
- ゲームの本質が理解できる: なぜこのゲームが面白いのか、なぜ人は熱中するのか、そのメカニズムが言語化される。
- ゲームデザインの視点が養われる: プレイヤーとしてだけでなく、ゲームを「設計する」側の視点を得られるため、より多角的にゲームを楽しめる。
- 日々の生活にも応用可能: 「ゲームする」という行為の分析は、仕事や学習におけるモチベーション設計など、日常生活の様々な場面での応用も示唆してくれる。
デメリット
- 具体的な開発手法は書かれていない: 「明日から使えるゲーム開発テクニック」を期待すると、肩透かしを食らうかもしれません。これはあくまで「本質」に迫る本です。
- 考えさせられる: 軽快に読み進められる一方で、深く考えさせられる内容も多いため、じっくりと向き合う時間が必要になるかもしれません。
まとめ
『ゲームの企画書(3) 「ゲームする」という行為の本質 (角川新書)』は、私にとって、ゲームの面白さを再発見させてくれただけでなく、日々の「遊び」や「学び」に対する見方まで変えてくれた一冊です。単なるエンターテインメントとしてではなく、人類の根源的な営みとしてゲームを捉え直すことで、あなたのゲームライフはもっと豊かになるはずです。
ゲームクリエイターを目指す人、ゲームを深く愛する人、そして「遊ぶ」という行為そのものに興味がある全ての人に、自信を持っておすすめします。ぜひ、この本を通して、あなた自身の「ゲームする」という行為を深掘りしてみてください。